研究発表
尊厳あるケアを目指して ~「自分で食べたい」~
- 看護師 浜田純子・森優子・松田京子・太田幸美
- 介護職 岡嶋美智代、西病棟スタッフ一同
全面解除で食事を摂取していた患者さんから、「自分で食べたい」という意思表示があった。患者さんの思いを大切にする取り組みから、「認知症で寝たきりの患者さんの尊厳あるケア」 について考察したので報告する。
対象
年齢:88歳、性別:女性 平成13年 脳梗塞 要介護5 C2 Ⅲa 左片麻痺、仮性球麻痺、嚥下障害
経過
食事の自力摂取を目標に、問題点・解決策を検討した。
①作業療法、②嚥下訓練、食事内容の工夫、介助方法の統一、 ③車椅子シーティングの工夫、④食事をするための環境作り、 テレビ観賞、化粧 、昔の写真を見て共に過ごす等 PT、栄養士、病棟スタッフが協働して訓練、ケアを行った。
自力摂取が進まず、患者さんが泣き顔をみせることがあった。
スタッフから 「食べさせて欲しいのではないか」「全面介助にしてはどうか」 との意見があった。
本人の意思を再確認し、スタッフ間で情報交換し合い、ケアを継続して行った。
結果
6ヵ月後、座位姿勢が整い、 上肢の動きや嚥下機能が改善され、 全面介助の割合が減り、 自力摂取の割合が10%から50%に増えた。
発語や笑顔が多くなった。
考察
さまざまな取り組みの中で、 昔の写真を見ながら話しかける関わりが、 職員との信頼関係を強くし意欲向上につながり、有効性があったと考える。
いかに患者さんと関わり、その思いを酌み取るか、介護者の姿勢が重要である。
患者さんの思いに気づき、 その思いを支えること が尊厳あるケアであると認識できた。
多忙な業務の中で個別に働きかけることは容易ではなく、 介護者側の要因による場合も少なくない。
個別に関わるケアをそれぞれの患者さんに提供するためには、 スタッフの意識改革、業務改善が必要であり、今後の課題である。